颯爽と現れ、そして爽やかにあかね屋を卒業して行った東大クンが教えてくれたもの。
去年の2月のことですが、ある男性から面談申し込みの電話を受けました。
「先日、資料請求をさせてもらったFと申しますが、一度そちらにお伺いしたいと思いまして・・・」。
Fさんと言えば、確か3日前に資料を送ったばかりなのに、早速面談を希望されるなんて男性では珍しい
女性と比べると男性は総じて忙しいのか、面倒臭さがりなのか、実際に連絡されるまでに時間がかかります。
「はい、はいFさんですね。早速ありがとうございます。え~と、いつぐらいでしたら、ご都合がつかれますか?・・・明日の7時ですね。分かりました。その時間なら大丈夫です。では、明日の7時ということで、お待ちしておりますので、よろしくお願いします」。
そして、次の日。約束の7時ちょうどにFさんはやって来ました。
話を聴いてみると、一週間ほど前に歯医者の待合で、「ハナコ・ウエスト」をパラパラめくっていると私が取り上げられている記事が目に入ったらしいのです。興味ついでに自宅であかね屋のホームページを開いてみると、その内容に少し驚いたと彼は言いました。
「結婚相談所のホームページなんて、どこも同じようなことしか書いてない中で、あかね屋さんのは、全く違いますよね。見る人に全然媚びてないというか、逆に“安易に結婚相談所なんかに入会するな”みたいな事が書いてある。こんな辛口の内容をこの業界で堂々と言う人って珍しいと思いましてね・・・。で、ガイドブックも請求して読ませてもらったら、またこれが面白い。“こんな情報出していいの?”くらいに本音を言う人ってどんな人なんやろう?
結婚相談所に入会することなんか、ほとんど考えてなかったんですけど、橋本さんには是非、会いたいなぁと思いましてん!」
彼はお茶を一口すするなり、まくし立てるように言いました。
その言い回しが、何とも力強くまた歯切れがいいのです。
それは一瞬で、「デキル男」を感じさせる第一印象でした。
で、やはり彼はいわゆる世間的にも「デキル男」の部類に属していました。
東京大学法学部卒。
(ギョぇ~東大卒って! このあかね屋で東大出は初めてやぞ~)
大手コンサルティング会社勤務。
コンサルタントとして各企業の再生や買収など経営の重要事項に直接関わる責任ある職務。
経済に疎い私にはピンと来にくいお仕事であるが、相当「頭のイイ人」でないとできない業務であることは確かなようです。
(当たり前か?)
「東大卒のコンサルタント」と聞くと、いかにもエリートで眼鏡の奥の眼光が時よりキラっと光るみたいなイメージだが、彼は実に気さくでユニークな人でした。
ボウズ頭にふち無しメガネ。音楽とファッションはヒップホップ一辺倒だと・・・彼は言いました。
ひっ、ヒップホップ?
(ヒップ・アップと何が違うんやろ?
どっちにしても私は、「さだまさし」しか聴かんから、よう分からん?)
確かにその個性は少し濃いかも知れませんが、彼のような男性が結婚相手のひとりやふたり、自力で見つけられないわけがないと思うのですが・・・。
橋本
「Fさん。こんな事を聴くのは変な話だけど、なぜあなたのような人が結婚相談所を頼らないといけないの?女性と出会う機会が全くないわけじゃないでしょ?」
Fさん
「もちろん、お友達から恋愛に発展していけそうな女性はいますよ。でも結婚相手となると、単なる彼女とはまた違う要素が必要じゃないかな?と思うとこがあって・・・。それで、お見合いの世界で出会う女性って通常、仕事関係とかコンパとか友達の紹介で出会う人とやっぱり何か違うのかなぁ?っていうのが僕の中にあるんですよ。最終的にどのつながりで、誰と結婚するかは分かりませんけど、お見合いっていう経験も含めて“嫁さん探し”をした方が、自分でも納得いく結婚が出来るかなぁと思ってるんです」。
橋本
「なるほどね」。(確かに、彼はよく分かっている・・・。)
結婚相談所の経営者が、こんな事を言うべきことではないのは百も承知の上ですが、彼の考え方にこそ、結婚相談所に入会して対価を払い、「いろんな人と出会う機会を得るというサービス」を受ける「本当の価値」があるのではないかと自分では思っています。
あかね屋の会員さんもその多くは、それぞれ個人の環境の中で全く出会いがないから、ここに来ているのではありません。職場や個人的な交友関係の中で異性の友達もいるし、何かのきっかけさえあれば、彼氏・彼女に発展しそうな人もいるでしょう。しかし、その範囲(人間関係)の広い、狭いは人によって限られているし、「類は友を呼ぶ」で収入や年齢、趣味などのライフスタイルも知らず、知らず似たもの同士の人間関係になりがちです。
たとえば、御堂筋沿いのオフィス街でOLするより、Gパン・Tシャツで通勤できる地元の中小企業で事務することを選んだ女性は、官庁勤務の男性とは一般的には出会いにくい。また、私立の男子高校で数学教師をされている男性は、ブティックの女性店長と知り合う機会も普通では少ないでしょう。
私たちのような結婚サービス機関を利用するメリットは、このような生活の延長線上以外
の人、つまり自分にとって「非日常の人」との出会いによって、自分自身の現実世界を改めて見つめ直すことが出来る点にあると思うのです。
前にもこの日記で、あかね屋に入会され、数回のお見合いを経験し、結局は自分のいとこに当たる男性との結婚を決めた女性の話をしました。
彼女のように自分がいる環境の「外にいる異性」とお見合いしたことで、逆に以前から自分の周りにいた異性がより良く見えてくることが多くあります。
他の人とお見合いするまでは特に意識する異性ではなかったのに、もしかとすると結婚相手としては案外、永く穏やかに寄り添っていけそうだ。とか、逆に秘かに憧れの気持ちを持っていたけれど、結婚相手として見れば、意外に現実的ではないなど。
彼女の場合は正にお見合いを経験したことで、幼馴染の「いとこ」という昔から一番近くいた男性の魅力に気づき、早期に結婚まで発展したのでした。
このような結末の結婚って意外と多いので“「灯台下暗し」型結婚”なんて私の中では、勝手に名前を付けています(笑)。
このように結婚相談所を通じて、自分にとって「非日常の人」と会うことが、改めて自分の求めていた伴侶像をクリアにしてくれる効果が多くあるのです。
「最終的にどのつながりで、誰と結婚するかは分かりませんけど、お見合いっていう経験も含めて“嫁さん探し”をした方が、自分でも納得いく結婚が出来るかなぁと思ってるんです」。と入会の理由を語ったFさんは、その意味を直感的に分かっているのです。
さてこのユニークなFさんのエピソードに話を戻しましょう。
年齢:36歳
学歴:東京大学法学部卒
勤務先:大手コンサルティング会社
職業:コンサルタント
年収:1000万円
会員シートの基本のデータ欄には以上のような内容が記されています。
そして、「これでお願いします」とFさんが持ってきたお見合い写真に、さすがの私も絶句でした。
お母さんが経営するお好み焼き屋さんの玄関で、ヒップホップ・ファッションの彼が人を食ったようなポーズを取っている。
(通常、かしこまったスーツ姿の写真を選ぶ男性がほとんどなのに・・・どこまでもオモろい人やなぁ・・・)
「一応、事実としての経歴はこうですけど、素の僕はこんなんでんねん!」とでも言いたげなFさんの紹介シートが出来上がりました。
「この方、凄く面白そうですね!」
「私にはちょっと着いていけないタイプかも・・・」
彼の紹介シートを見る女性会員さんの反応は様々です。
そして間もなく「どんな人か一度、お会いしたい」あかね屋の女性会員の中から、数名のキャリアウーマンが手を挙げて来られました。
そしてお見合いを終えるたびに彼からその状況を報告する電話が私のもとに入りました。
Fさん:「いや~、橋本さん。今日のKさんですけど、参りましたわ(笑)」
私:「何がどう参ったんよ?」
Fさん:「彼女、無茶苦茶キレますね。もの凄い賢い人ですわ~」
私:「それって、東大の頭脳を持ってもリードできなかったっていうこと?」
Fさん:「そんなん、(僕の頭なんて)関係ありませんって・・・。面白かったけど、僕のような器では、彼女にしてみれば小さいと思いますわ。トホホって感じですけど、まぁ、エエ勉強になりました・・・」
私:「じゃ、撃沈したってこと?」
Fさん:「はい、そのとおりです。完敗ですわ。今回は謹んで身を引かせてもらいます(笑)」
私:「それやったら、しゃーないね。じゃ、お断りということで連絡しときます」
Fさん:「お願いします。それを聞いたら、たぶん彼女もホッとされると思いますわ(笑)」
また別のお見合い後・・・
Fさん:「橋本さん・・・。今日の(お見合い相手)Wさん。マジで可愛いっすね!」。
私:「そうやろ!ええお嬢さんやろ!」
Fさん:「ほんまに、“このまま家に連れて帰ろうかな”って思いましたわ!」
私:「あ~そう! そしたらあなたはOKで返事しといてもいいということやな?」
Fさん:「いや、1日だけちょっと待ってもらえません?」
私:「なんで? 家に連れて帰ってお母さんに会わせたいくらい可愛いかったんやろ?」
Fさん:「いや、(彼女のような純粋な人が)こんな毒気のある僕でいいんか? よ~く考えますわ」
お見合いの時間が終わり、相手と別れるたびに彼はその日あった一部始終を私に報告してきました。まるで小学生が林間学校での出来事を母親にこと細かく説明するような弾んだ声で。
そして、そのようなやりとりが9ヶ月くらい続いたある日、彼から電話がありました。
「橋本さん、今週なんですが、一度事務所に寄ってもいいですか?」
「どうぞ!いつがいい?」
「じゃ、土曜の夕方でも」
「分かりました。お待ちしてます」
その日、Fさんは少し神妙な顔つきで私の前に現れました。
Fさん
「橋本さん・・・、僕、決めましたわ」
橋本
「えっ?ひょっとしてお嫁さんになる人のこと?」
Fさん
「はい」
橋本
「それは良かったやないの!で、どんな女性?」
Fさん
「バーベキュー仲間の一人ですねん。あかね屋さんに入会するずっと前からの友達なんですけど、今まで結婚相手とかっていう意識で見たことなかったんですけど・・・なんでやろねぇ、ここで見合いをさせてもらう度に彼女の事が気になり始めたんですわ・・・」。
橋本
「ああそう。ホンマに良かったね。あなたが初めてここへ来た時に言うたとおりになったね。」
Fさん
「えっ?僕・・・え~と何、言いましたっけ?」
橋本
「言ってたやん。“最終的にどのつながりで、誰と結婚するかは分かりませんけど、お見合いっていう経験も含めて『嫁さん探し』をした方が、自分でも納得いく結婚が出来るかなぁ”って。言ってたやろ?」
Fさん「ああ、言ってましたわ!」
橋本
「言ってたとおりでしょ。今までの環境にいる以外の人と会っていくことで、前から隣にいた人が、より良く理解できたんよ。自分にとって本当に必要な相手って、たぶん自分が一番分かってなかったりするもんよ。それに気づくためにも、一時、外に目を向けたほうがええのよ。」。
Fさん
「そうですね!ここでいろんな女性に会わせてもらって、その度に勉強させてもらったから、たぶん(自分の中で)無意識のうちに考え方がちょっとづつ変わっていったかも知れませんね」。
橋本
「そういうことやね。とにかく、おめでとう!Fさん」
Fさん
「ありがとうございます!でもあかね屋さんに来させてもらって、橋本さんといろんな話ができて、ホンマこの1年ほどの間は面白かったですわ! 」
橋本
「私もあなたのような“濃~い男性”とお付き合いできて、いろいろ気づかせてもらいました。 こちらこそありがとうございました!(笑)。でも本当は私の力で、Fさんの結婚相手を見つけてあげられなかったのは、残念やったけど・・・(笑)」。
Fさん
「いや、いや僕のほうこそ、橋本さんからいろいろ教えてもらって、それぞれ素晴しい女性に会わせてもらって、いい経験になりました。お見合いという(結婚に向けての)実践があったから、自分自身が(結婚相手に)“何を求めているか、何が出来るか”が、よ~く分かりましたし、その結果、今の彼女に対して確信が持てたということですから、入会させてもらったメリットはお釣が来るほどあったんじゃないかなぁ?と思いますよ(笑)」
橋本
「さすが、腕利きのコンサルタントやね。分析の仕方が全然違うわ!(笑)」。
Fさん
「それって、誉められてんのかなぁ・・・?」
何かの本で読んだのですが、世界的にも有名な美術教師は、生徒に絵の描き方を教える際に、こう言うそうです。
「親指を描きたいなら親指を描こうとしてはいけません」。
「親指の周りの空間を描きなさい。それが親指を上手に描くコツです」と。
この名言を「ナニワのお見合いおばちゃん」がそのままパクらして頂くと、
「自分にとって本当にふさわしいパートナーを探したいのなら、自分の外の世界にいる人と数人会ってみてください。これまで漠然と持ち続けてきた結婚へのイメージがクリアになります」と。
“「灯台下暗し」型結婚”をされた東大法学部卒のエリート・コンサルタント。
(洒落のつもりじゃないねんけど・・・)
彼が残してくれた興味深いエピソードはまだまだ序の口です。
また、機会があればここでお話したいと思います。
投稿者 Akaneya : 16:57 | コメント (1937)