先日、とても嬉しい報告がありました。
電話の主はあかね屋会員歴9年のU子さん(42歳)
「橋本さん、私、Iさんと
結婚しようと思います。
これでついにあかね屋を卒業です!」
電話を切った後、
彼女と初めて会った日のことが
脳裏によみがえってきました。
2011年、3月10日。
そう。あれは東日本大震災の前日でした。
東京で講演会があり、その後の懇親会で
隣のテーブルにいた一人の女性が
私に声をかけてきました。
「私、橋本さんのこと、
1年前から知っているんです」
「あら、そう!失礼ですがお名前は?」
「私、O山といいます」
「O山さん?あっO山U子さん。
T女子大を卒業された・・・」
「えっ、何でわかるんですか?」
「だってあなた、去年の春頃に
資料請求してくれたでしょ?」
「はい、しました。でもそんな前のことを
覚えてくれていたんですか?」
「ええ、郵送物はぜんぶ自分で
宛名書きをしているから送った方の名前は
だいだい頭に入っているんですよ」
「名前だけでもすごいのに
出身校まで覚えているんですか?」
「私、昔からお勉強はダメだけど、
そういうことは不思議と忘れないのよ(笑)」
“へぇ~すごぉ~い!”
そんなU子さんとのやりとりを
聞いていた15名の参加者から、
感嘆の声が上がりました。
そして、この楽しい夜から一転、
翌日、東北地方太平洋沖で大地震が起きました。
それから半年が過ぎた、9月の半ば
U子さんから入会希望の連絡がありました。
「私、特に結婚したいわけではないんですけど、
橋本さんからいろいろと教わりたいので、
入会させて欲しいと思っているんですけど、
そんな理由でも入会できますか?」
「ええ、もちろん大丈夫ですよ。
でも結婚はしないって、決めているわけでも
ないんでしょう?」
「はい。ただ、今は
『自分に結婚が必要かな?』って
それもわからないんです」
「だったらそれを見極めるための
婚活をするという目的で入会されるのは
どうかしら?
いろんな人と会うことで、
その度にあなた自身の気持ちがどう動くか?
それを自分で感じてみて、
結婚というものが本当に必要なのか、
そうじゃないのかを確認したらいいじゃない」
「なるほど、
それを目的にすればいいのか・・・わかりました。
では橋本さん、お手数ですが
入会に必要な書類を送ってください!」
そんな肩に力が入っていない婚活を
ゆっくり始めたU子さん。
彼女の活動は自分からお見合いを申し込むより、
男性から申し込まれたお話を
お受けすることが基本でした。
それがたとえ良くても不調に終わっても、
一切、一喜一憂することもなく
、常にひょうひょうとした態度で
婚活に取り組んでおられました。
また時折、彼女が住む横浜から、
わざわざあかね屋まで出向いてくれては、
婚活とは無関係の、他愛ない話で盛り上がるなど、
U子さんは私にとって、会員さんというよりも、
友だちに近い存在でした。
入会以来、そんな“ゆるい婚活” を
続けてきたU子さん。
彼女があかね屋歴10年を前にして
結婚を決めた理由に「なるほどぉ~」と
思わずうなってしまいました。
お相手の方は45歳の会社員。
離婚歴があり、前妻のとのあいだに
子供さんが一人いて、今も養育費を
負担されているのだとか。
年収もサラリーマンのちょうど平均くらい。
名門女子大卒、公務員20年のキャリアを持つ
U子さんのほうが、経済力ではまさっています。
仕事がデキて収入もそれなりにある
アラフォー女性の多くが、今までだったら
敬遠しそうな部類の男性像ですが、
U子さんのユニークなところは、
お相手の“そういうところ”が
魅力的だと思ったのだそうです。
「立派な学歴の人とか年収の高い人って、
私はたぶん一緒にいて疲れると思うんです。
そういう相手と釣り合いのとれる
自分で居続けるって、考えただけで息が詰まります。
仲のいい友人の何人かは学歴とか年収とか、
今で言うハイスペックな男性と結婚しましたが、
実際、幸せそうな感じが伝わってこないし、
その中には離婚した子もいます。
世間で言う条件のいい男性と
パートナーとしてうまくやっていけるかは
別の話ですし、今は特にコロナ渦で、
誰も先々はどうなるかわからない。
私は相手に期待しすぎないし、
私もそうされたくない。
だってお互い期待したとおりにならなかったら、
どうしても失望したりするじゃないですか。
夢がないとか、消極的な考えと
思われるかもしれないけど、
あれもこれもって求めて、幸せの基準を上げるより
些細なことで喜べるクセをつけて、
ささやかでもたくさん嬉しい思いができたほうが、
トータルで「幸せな人生」だったって
言えるんじゃないかな。
物質的な面で「優雅な暮らし」はできなくても、
彼と一緒だったら、そういう結婚生活が
できるんじゃないかと思いました。
これが10年近く、
橋本さんにアドバイスをいただきながら
婚活をつづけてきた結果、得た私の結婚観です」
彼女の言葉に、
あえて私の感想を述べるというような
野暮なことはしません。
それにしてもU子さん、
この潔さ「あっぱれ!」です。
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