120回を超えるお見合いの末に・・・




(この記事は2021年の1月に書いたものです)



2021年の初出勤となったのは1月2日。


皆さんからいただいた年賀状の束が、

あの細長いポストにちゃんと収まっているか?

そう思うと、いてもたってもいられず、

気づけば駅に向かって歩いていました。


毎年、会員さんやあかね屋を卒業された方々、

またそのご家族からいただく年賀状を

読ませていただくことは、

お正月の楽しみでもあります。


特に元会員さんは、

その方々の「その後」に触れることで、

一人ひとりとの思い出が蘇り、

時間を忘れてしまいます。


はがきの束が最後に近づいた時、

懐かしい名前が目に飛び込んできました。


ちょうど4年前の1月末に成婚退会された

Sさん(男性:当時41歳)です。


Sさんがあかね屋に来てくれたのは、

今から遡ること6年前。


それまで約90回ものお見合いを

されてきたそうですが、

ご縁に恵まれなかったとのことでした。


国家公務員で見た目も上品でハンサム。

しかも、ご実家は何代も続く建設会社。


そんなSさんが、

そこまで苦戦してきた理由が

よくわかりません。


予想どおりSさんのプロフィールが公開されると、

お見合いの申し込みが次々と入ってきました。


「お見合い相手を決めるのも

橋本さんの意見を参考にしたい」と、


それからSさんは、判で押したように

週1回面談に来られるようになりました。


最初はお相手選びが面談の目的でしたが、

日が進むにつれ、それはお見合い後に

お相手の方とお付き合いするかどうかの

相談になり、


そして、今度はお付き合いになると、

交際を続けるのか、打ち切るのかを検討する。


そのような一連の流れが約2年もの間、

繰り返されたのでした。


こうして、Sさんは

あかね屋に入会する以前から数え、

121回のお見合いの末、ようやく運命の女性と

巡り会うことができました。


Sさんが退会の手続きのため、

事務所に来られたのを最後に、

週1回の面談は終わりました。


それから4ヶ月経った6月の初旬、

Sさんから電話がありました。


「橋本さん、おひさしぶりです」


いつものSさんより低いその声色を聞いた瞬間、

これは重要な報告をするための電話であると

感じました。


「実は僕、離婚することになりました・・・」


喉がピリついて声が出ませんでした。


「橋本さんにはあれだけお世話になったのに、

申し訳ない気持ちでいっぱいです」


「そんなことはいいんだけど、

あなたは大丈夫なの?」


「ええ、僕はもう完全に吹っ切れていますから

大丈夫です」


そう言ったSさんが電話の向こうで

微笑んでいたので、


私も少し気持ちがラクになりました。


「それでこれからは?」


「はい。もう結婚はいいです。

たった4ヶ月でしたがもう充分に学びました」


この「充分に」に、特に力がこもっていたので、

それはまぎれもない

彼の本心であることがわかりました。


Sさんはご自身の気持ちを

次のように話してくれました。


「離婚してしまったというより、

4ヶ月足らずでしたが、僕自身は結婚生活を

経験することができてよかったと思っています。


彼女には本当にすまないという気持ちですが、

結婚したからこそ、それが僕にとって

どういうものなか?を思い知れたことは、

本当によかった。


『8年もかけて120回も見合いをしたのに』って

思われるかもしれないけど、


それだけやりきったからこそ、

今、心底納得ができているんです」


話が進むにつれ、Sさんの言葉に

熱が帯びてきました。



現象だけを見れば、この話は

ある1人の男性の「失敗体験」に映るでしょう。


多くの方々の結婚に携わってきたので、

少し違った見え方がしているのかもしれませんが、

私はこう思いました。


たったの4ヶ月。でも、それまで

「わかり得なかった」結婚というものを

経験できた。


それは本人も言うように、彼にとって

何にも代えがたい学びだったのだと。


自分の人生にとって結婚というものが

本当に必要なのか?


その疑問が解けたこと。


その上でこれからを生きていける。

ここに価値があるということ。


以前に「婚活とは究極の自分探し」というテーマを

書いたことがありましたが、


Sさんは正に、結婚に対する「真の自分」を

見つけることに成功した人なのだと、


私はそのように思いました。

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