リモートのお見合いでも、うまくいくの?
コロナ禍をきっかけに、リモートでのお見合いが全体の半数近くを占めるようになりました。
当初はそんな無機質な方法で男女の神聖なご縁を取り持つなど、本当できるのか?と思っていました。
これまで私は仲人として、会員さんのお見合いはできる限り立ち会うことを基本にしてきました。
その理由は、お二人が初めて出会う、その瞬間の様子を直に見ておくことで、お見合い後に当社の会員さんがお相手の方との交際を希望するかどうか?など、それ以降の活動に対して、適切なアドバイスができるからです。
こうして、ずっとリアルな現場にこだわってきたので、リモートでのそれにはどうしても違和感がありました。
でも、実際にはリモートでお見合いをした方々の反応はすこぶる良く、あくまで当社での結果ですが、コロナ禍以前と比べ、交際が成立する率はリアルよりもオンラインが上まわったのです。
私が長年こだわってきたことは何だったのか?
自分の中の常識がガラガラと崩れました。
リモートお見合いにはこんなにメリットがあった
これからお話することは当たり前のことばかりですが、どうか聞いてください。
リモートの場合、お見合いの場所は自室です。
ホテルのラウンジなどとは違い、他にお見合いされている人たちの様子も目に入りませんし、隣席の会話など雑音が聞こえてくることはありません。
よってパソコンの画面上に映るお相手だけに集中することできます。
お互い見えているのは胸から上の姿のみ。それ以外余計なものはほとんど目に入らない。
たとえばリアルのお見合いだったら相手の服装や持ち物などの細かいところが気になったりなど、そういう雑念がわいてきたりしない。
つまりお相手から悪い印象も伝わってこないし、逆にお相手にもそれを与えることもない。そういうことから、お互いが「お断り」の返事をする理由ができづらいのです。
「お相手のことはまだよくわからないけど、悪くはない」
だったら「もう一度、お話してみてもいい」ということになり、とりあえずは交際という次の段階に進む。
この次の機会への「つながり」が、お二人のご縁が育っていく第一歩となるのです。
デートもリモートだから仲良くなれる
その後、お付き合いに進んでもしばらく何回かはリモートで接触するほうが、お互い仲良くなりやすい。
それもこのコロナ禍になって以降、わかったことです。
リモートですから必ずしも休日の予定を合わす必要はありません。
平日の夜でも、お互い1時間ほどの空き時間ができるとしたら画面上で会うことができます。
そのよさを女性会員さんの一人は次のように語ってくれました。
「オンラインだったら、お相手の方とサクッと話ができてキリのいいところで終われる。パソコンを閉じれば自分の部屋。これってすごく快適ですね。だから次も近いうちにこの人とお話ししたいなぁって思えるんです。」
たしかにお相手の方と会うということは、それなりに面倒なことでもあります。
着る服を選ぶのもそうですし、男性なら立場上、どこで食事をして、その後どこに行くなど、1日のプランを考えないといけません。
そのようなエスコートが上手くいかないと気まずい雰囲気になったりして、それがきっかけでお付き合いが終わりになることもよくあります。
そうした、些細なことでせっかくの縁が壊れるということがリモートなら起きにくい。
つまりお付き合いが途切れないから、二人の関係が進展する。ますますご縁が育つ土壌ができるということです。
こうして何度かオンラインでのコミュニケーションを重ねているうちに、「そろそろ会いましょう」ということになり、ようやくご対面の日を迎えます。
会う以前に人間関係ができているからカンタンには切れない
お互いがその本人に会ったその時、何人もの人がオンラインの時とは違う印象をもったと言っています。
たとえば想像よりもスマートだったとか、逆にそうでもなかったとか。
良いこともそうでないことも、多少のギャップはあるものです。
リアルなお見合いの場合でしたら、お見合い写真のイメージと実際のご本人とは違ったという理由で、交際には至らないことはよくあります。
それが、オンラインお見合いから引き続きオンラインで何度かコミュニケーションを重ねた場合、その過程で徐々に人間関係ができています。
ですから仮に実際に会って多少のギャップを感じたとしても、すでにできている関係のほうが勝るので、そこでご縁が終わるという流れになりにくいのです。
こうしてお付き合いが継続しているうちに、さらに関係が強くなっていき、やがてお互いが本気で結婚相手として考えるようになるのです。
一度も会ったことがない相手と幸せな結婚をすることは可能か?
2021年2月14日のことです。
コロナ禍以降の新しい時代を象徴するような一組のご夫婦が誕生しました。
このお二人は「オンラインお見合い」の翌日からオンラインのみでの交際を重ね、28日目に初めて会ったその場で結婚の約束をしました。
お二人がいかにして直接会うこともなく、結婚に至るまでの関係を築いたのか?
「これからの時代の結婚」を考える上でとても参考になるお話ですので、以下にその内容を紹介することにします。
あかね屋の女性会員Aさん(37歳)と福島県在住のKさん(36歳)が「オンラインお見合い」をされたのは1月17日のこと。
その日、1時間ほどで意気投合した二人は、以降、ラインで短い対話をすることを日課とするようになります。
心理学の定説によると、人と人はあいさつを交わす程度のほんの短い時間でも、接触の数が増えるほど、親密になるそうです。
それにもとづくなら、月に1回、2人でまる1日を過ごすよりも、10分でも毎日対話をするほうが双方の距離は縮まるということ。
そのとおり、この2人も日を追うごとに、相手に対する気持ちを高め合っていきました。
特にAさんは外国人にオンラインで日本語を教える仕事をしており、その経験から人は直接会わずとも、コミュニケーションの取り方によって、親友のレベル、またそれが高じてビジネスを任せられるまでの関係が築けることを、身をもって知っていました。
とはいえ、2人のコミュニケーションは仲良くなるためだけなく、お互いが結婚相手としてふさわしいかどうかを見定めるためのものでもあります。
感情的な盛り上がりだけでなく、これからの生き方や結婚観など、互いの価値観をすり合わせる必要がありました。
休日は時間をとり、男女の結びつきをテーマにした海外ドキュメンタリーを観て、感想を語り合ったり、結婚生活におけるお金の扱い方や役割分担などについての考えを話し合ったりするなど、二人にとって現実的で大切なことを確認しました。
2021年2月14日。
Kさんは福島県からAさんが住む京都にやって来ました。
お見合いの日から数えて28日目、お二人は初めて直接の対面を果たしました。
それまで互いの手に触れることも無く、匂いを感じたこともない二人でしたが、その場でKさんはプロポーズし、Aさんはお受けしました。
オンラインという画面上での出会いと交際、そして、初めて、じかに会った瞬間、結婚が決まる。
そのように言うと、いかにも時代性だけを強調しているような伝わり方がするかもしれませんが、この二人の出会いから結婚に至ったプロセスで最も参考にすべきは、お互いの考えや価値観のすり合わせをしっかりと行ったことにあると思います。
オンラインだからこそ、出会いの機会は増える。
オンラインだからこそ、時間と場所に制限されることなく、2人の関係を深めることができる。
それだけ効率的になったからこそ、そのぶん結婚において、本質的なお互いの努力が大事になる。
男女が直接会わずしても結婚できる時代。これからどんなカップルが生まれるのか、楽しみでもあります。
ほんの数年先は「オンライン結婚生活」を送る夫婦が増えるかもしれません。
いつかは結婚しなければならないと思っている。
でも、本当は一人のほうが好き。
結婚することに、つい二の足を踏んでしまうのは、一人の時間がなくなることの不安がその理由かもしれない。
「そんな自分ってどこかに甘えがあるのだろうか?」
そのように、どうしても結婚に前向きになれないことに悩んでいる人が多いように思います。
ある外国の学者さんの研究によると、そもそも他者とともに過ごすこと自体が苦手というタイプの人が一定の割合で存在するのだそうです。
そうなる理由は1歳半までの、母親など養育者との関わりによって、その後の人生における他者とのつき合い方に積極派と消極派にわかれる傾向があるとのことです。
もちろん、白黒はっきりわかれるのではなく、やや積極的やや消極的というように、その中間にあるグレー層の幅が広いのだとか。
人によって結婚に対する欲求が高い低いというのは、こうした発育の過程や環境なども影響していると考えられるのです。
ですから「結婚に前向きになれない」のは、その人自身が自立的でないとか精神的に未熟だとか、そういう問題ではないということです。
これからも結婚はしないで一人で生きていくというのも、将来を考えれば不安だし、とは言え、誰かとずっと一緒に暮らすというのもしんどい。
このようなどっちつかずの状態をうまく解消する方法が、もしあるとしたら、結婚を少しは前向きに考えられるかもしれない。
過去に成婚されたカップルの中には、平日の4,5日は別居し、週末だけ一緒に過ごすという「週末夫婦」が何組かいます。
その多くは最初からこのような結婚スタイルを望んだのはなく、たとえばお互いの仕事の都合とか、結婚前からあった持ち家の管理とか、いろんな事情も含めて話し合った末、双方のニーズを満たす方法がこれだったのです。
そして、皆さんが共通しておっしゃるのは、この生活スタイルは大変快適だということです。
というのも、日常生活の中に適度な距離があるぶん、お互いを尊重できたり、協力し合えたり、ずっと一緒にいるよりもかえって二人の関係がうまくいくという実感を得られているようです。
先ほどご紹介したAさんとKさんのご夫婦も、しばらくはお互いが京都と福島を通い合う生活を続けるようですし、このようにお互いの仕事の都合でしばらくは「週末夫婦」というスタイルをとられるというカップルは今後増えていくと私は考えています。
生活は離れていても、オンラインでの対話を欠かさないことで、夫婦として家族としてつながっている感覚、安心感をもつことができる。
そして、日頃は離れているぶん、週末など数日ぶりに会った時は、お互いに新鮮で充実した二人の時間を過ごせる。
もちろん子供が欲しいとか、実際に子供ができたらそんな生活は難しくなるかもしれませんが、あまり先のことばかりを今から思いわずらうよりも、それはそうなった場合に二人で話し合い、その時点でも最適な生活のスタイルを作っていけばいいのではないでしょうか。
この期に及んで「結婚とは、結婚生活とは、家族とは、こうあらねばならない」というような、親世代の前から受け継がれてきた価値観に必ずしも従わなければならないのでしょうか?
これから少し先の未来で大事なことは、あらゆることで変化が激しい時代に、自分たちの生活スタイルをどうやって作るかというテーマについて、ポジティブに話し合えるようパートナーとの関係を築くこと。
そういう関係が築けるパートナーと出会うことを目指す。それを目標にして、婚活に取り組んでみるのもいいのではないかと思います。